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マヌエル・ベラスケス [ギター]





2014年に97歳で亡くなった名工マヌエル・ベラスケスについて調べていました。私が最初に購入した手工ギターは1992年に野辺正二で目白にあるギタルラ社でした。ギタルラ社では厳選した輸入ギターを取り扱っていることを売りにしていて、その中でもベラスケスを高く評価していました。野辺ギターを買う時に当時150万程したベラスケスの新作を少し弾かせて頂き、その頃からベラスケスは私の憧れのギターの一つでした。ベラスケスについての情報を海外のサイトのバイオグラフィーやインタビュー記事を見てみると日本版のwikiや店舗の紹介記事はあまり信頼出来ない情報が多いことが分かってきました。
例えばあるショップの紹介では次のように書かれています。
"1917年プエルトリコ生まれ。家具職人からスタートした彼は、ヴァイオリンやギターの修理を行うようになり、その後1950年代から本格的にギターの製作を始めました。1965年頃までの楽器はハウザー一世モデルで少し小型の楽器でしたが、アメリカに移住後1980年代までの楽器はアメリカ人の体格と趣味に合わせたのか大型化しパワーに優れた楽器になっています。その後は再び初期の型に戻し高い評価を得ていますが、高齢の為現在製作は行っていません。"
ベラスケスのギターは50年代60年代前半の初期のモデル、ボディを大きくした第2期のモデル、再びボディサイズを元に戻した3期のモデルに分かれるということは良く知られていることです。また特に初期のモデルの評価が高いというのも確かです。では上記の紹介文は何処が間違いかというと、アメリカに移住してアメリカ人の体格に合わせて大型化したという記述が大きな間違いです。ベラスケスのルシアーとしてのキャリアは1940年代にニューヨークに工房を開いてから本格的にスタートしています。ですから最初からアメリカで製作していて、早い時期に高い評価を得ていたのです。やや大型化したのはラミレス三世などの影響で60年代にギターに音量を求める風潮が生まれたことが要因だと思います。
ベラスケスのギターはまるでハウザーのコピーのように見えますが、ベラスケス自身はハウザーのコピーとは言っていません。彼はトーレススタイルに拘り、ハウザーやサントス・エルナンデスから影響を受けたと言っており、生涯トーレスの7本のファンブレイシングの構造を堅持しています。但し、ある時期から高音側に斜めのブレイシングを追加するようになったようです。ではハウザーを意識していないかというとそうではなく、プエリトリコに訪れたハウザー一世を持ったセゴビアを聴いたことが大きく影響しているようです。セゴビアのハウザー一世自体がトーレスの影響を大きく受けているのですから、ベラスケスがトレースモデルだと言っていることに間違いはないでしょう。
さて50年代にニューヨークで成功したベラスケスは何度もアメリカとプエルトリコで移住を繰り返しています。1962年にはプエルトリコに戻り大きな工房を設立しています。ベラスケスの工房品ラベルの楽器はこの時期から作られるようになったものと思われます。1966年には再びニューヨークに戻ります。さらに1972年から1982年まではまたプエルトリコに帰国しており、82年にアメリカに戻った先はバージニア州のアーリントンで、その後にフロリダに移住しています。ベラスケス自身の製作によるラベルはニューヨークまたはプエルトリコと書かれていますが製作された場所は年代で異なることになります。
ここで気になることは初期型に戻った第3期は何時からなのかという点です。そこも上記の紹介文のように80年代としていたり、wikiでは80年代後半と書かれていたります。大型化した楽器というのはボディの厚さ、ネックの幅などに違いがあるので現物を計ってみれば分かるのですが、ベラスケスを多く扱ってきたギタルラ社で1980年製の楽器が第3期の物と紹介していますので80年代以後の楽器は第3期に該当すると思っても良さそうです。
ベラスケスは塗装についても拘りを持っていて、ギターで一般的なセラック(french Polish)よりもバイオリンの塗装などに用いる油性ニス(Oil Vernish)が優れているという考えで基本的にはOil Vernishのようです。但し、プエルトリコでは気候の関係で油性ニスではなくラッカーを使用していたと本人が言っています。また、顧客の要望により表面版はセラックという対応もしていたようです。



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